ガソリン高騰、山形では200円に迫る地域も 農家は悲鳴

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ガソリン高騰、山形では200円に迫る地域も 農家は悲鳴

1: 2025/02/18(火) 06:21:49.01
毎日新聞最終更新 2/18 06:15
https://mainichi.jp/articles/20250217/k00/00m/040/244000c

 原油価格の高騰を受け、国が石油元売り各社に支給している補助金が縮小して1カ月が過ぎた。山形県のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均店頭価格は、東北で唯一190円台に上昇し、200円に迫る地域も出てきた。

 地域の産業にも影響が出ており、ハウス栽培で暖房費がかさむなど、農家は「しんどさが増した」と悲鳴を上げる。車が欠かせない地方の暮らしにも燃料高が追い打ちをかけている。

 観賞用の生花「ストック」のハウス栽培が盛んな庄内町。稲作との複合経営に取り組む池田宏志さん(41)は、年末の需要期に向けて灯油での暖房が始まったタイミングに重なった。

 所有する6棟のハウスで使用する灯油は年間で計約2400リットル。運送費も数年前から1・5倍に跳ね上がるなど、単価の値上がりが経営に直結する。

 昨年7月の記録的な大雨で浸水被害に見舞われたが、仲間と産地を挙げて品質向上に努めて引き合いが多くなったのを励みに、踏ん張っている。「地方の経営環境を少しでも軽減してほしい」と、ガソリン減税の前倒しを求める。

 5人家族で1人1台ずつ車を使っているという鶴岡市の養豚農家の男性も、飼育する子豚の暖房に使う灯油の費用が悩みの種だ。自家用車のガソリンも含め、長らく利用してきた最寄りのスタンドは経営難から閉店し、5キロ以上離れた地区まで出かけて買い求めている。

 男性は「農業資材なども経費が全て上がっている上での燃料高は、負担が3・5割増えた実感がある」。物流費に影響することから、今後、食料品や生活用品のさらなる値上げにつながるのではないかと心配する。

 資源エネルギー庁が13日に公表した山形県のレギュラーガソリンの店頭価格は、1リットル当たり190・6円(全国184・5円)。昨年12月と今年1月に元売りへの補助金が段階的に縮小されて以降、初めての高水準となった。

 県内では2カ月前と比べて、1リットル当たり10円程度値上がりし、調査開始の2004年6月以降、最高値だった23年9月の191・9円に近づき、高止まりしている。庄内地方の運送会社社長は、「月10万程度負担が増えた。繁忙期ではないが、厳しい」と頭を抱える。

 そもそもガソリン価格は都道府県で異なる。県石油商業組合などによると、山形県は現在、東日本では長野県に次いで高く、全国でも有数の高値が続く。一般に取扱量が少なく、価格競争が働かない地域で高単価になる傾向があるほか、沿岸部などにある大型の油槽所から距離があり、トラックや船で運搬する地域は輸送費や人件費もかかる。

 物価高騰が生活を直撃している車社会の地方の暮らしに、燃料高の影響が重くのしかかる。県内の各地域でも事情は異なり、米沢市を中心とする置賜地方では198円、鶴岡市や酒田市など庄内地方では194円での販売も目立つ。いずれも東北地方の平均価格を上回る高値だ。

 鶴岡市のガソリンスタンドの従業員は、県内でも比較的単価が安いとされる山形市などから訪れるドライバーを念頭に「『高い』と言って、戻れる分だけの少量しか詰めてくれない」とこぼした。【長南里香】


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