【飲食】ライス無料をやめる店も…コメ高騰でラーメン店が苦境に
8日には大阪・関西万博の会場内のラーメンが1杯2000円であることがSNS(ネット交流サービス)で話題となったが、日常食として提供しているラーメン店となると、価格転嫁のハードルは高い。客足が遠のくとされる「1杯1000円の壁」もあるといわれるためだ。
ラーメン店の中には、ライスの価格を変更したり、無料提供を有料に切り替えたりと、苦渋の決断を迫られる店もある。
<ライスが有料化し、本日が最後の来店となりそう>
<米高っ。ライスお代わり無料をやめる家系ラーメンが出てきたけど、それも仕方ない値段>
<家系はライスがあって成立するもの。気楽に食べれる類(たぐい)で無くなっちゃったなぁ>
SNS上では、客たちの嘆きの他、店に同情を寄せるコメントが散見される。
千葉市にあるラーメン店「野良裏家」では9日昼前、客がすするラーメンの音が響き渡っていた。
運営会社の斎藤佳太代表によると、昨夏からコメの仕入れ値が5キロあたり1500円ほど上昇。苦渋の決断で、学生限定のライス無料食べ放題を廃止し、中盛り(220グラム)1杯無料サービスに切り替えた。
学生客はみるみる減り、にぎやかな話し声が聞こえる店の雰囲気が落ち着いたものに変わった。
それでも採算がとれないため、2月から100~200円だったライス(大、中、小)の値段をそれぞれ50円値上げした。
「お客さんに負担を強いる一方、店の利益にもつながらない。誰も得しない状態が続いている」
苦しい胸の内を明かす斎藤さん。「丼もの」は値段を据え置いたり、コメのロスを減らすために夜間のライスを提供しない時間を増やしたりするなど工夫する。
斎藤さんは「ラーメンは何杯売ったかが利益につながる、小銭を積み上げていく商売。光熱費、原材料の値段が上昇するなか、苦渋の決断という言葉に尽きますが、値上げしても通用する店をつくるしかないです」と話した。
一方、埼玉県春日部市にあるラーメン店「煮干乱舞」は、190グラム程度のライスの量を160グラムに減らし、値段を200円に据え置いた。
コメの仕入れ値が昨夏の倍近くになり、ライスの提供自体をやめることも考えたが、ラーメンのお供に注文する客が多いことも踏まえた苦肉の策だ。
スープに使う煮干しも含めありとあらゆるものの価格が相次いで上昇し、ラーメン1杯の販売価格は10年前の創業時に比べすでに2倍ほどとなっている。
「ラーメンの具材の価格は緩やかに上がっているからまだ対策が打てるが、コメの値上がりは急激すぎる」
運営会社取締役の川田綾さんは困惑を隠さない。
農林水産省は10日、政府備蓄米の放出に向けた入札を開始する。コメの流通を円滑にする狙いだが、実際に価格抑制につながるかは不透明な状況だ。
川田さんは「物価高でも何とか外食を楽しもうと来ているお客さんの期待に応えたい。消費者や物価高対策の何かしらの手立てを講じてほしい」と訴える。
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民間調査会社・帝国データバンクによると、2024年のラーメン店の倒産件数(負債1000万円以上)は72件の過去最多で、前年(53件)に比べて3割超の大幅増となった。
人件費や原材料コストなどが高騰する一方で、「コスト増を価格へと転嫁できず、利益確保が困難となるケースが多くみられた」という。【宮城裕也】
3/9(日) 19:00配信 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/dcea1da109ca17cb76f5265d7ae68ced5359609c
ラーメンとセットでライスを注文する人は多い=千葉市内で2025年3月9日、宮城裕也撮影
https://news.yahoo.co.jp/articles/dcea1da109ca17cb76f5265d7ae68ced5359609c/images/000