【予想】東洋証券・安田氏「Switch2は初年度に2000万台売れ、3年後の任天堂売上高は3兆円を超える」
●応募220万件の衝撃! 任天堂の今期計画を考察する
次に多くの投資家の関心が高いゲームセクターである。5月8日に任天堂 <7974> が25年3月期の決算を発表した。実績は大幅減収減益
だったが、現行の主力ゲーム機「スイッチ(Switch)」末期ということなので、すでに終わったことと受け止められている。今期、26年
3月期の注目はやはり次世代機「Switch2」についてであろう。同社によると、「Switch2」ハードは1500万台、ソフト4500万本(マリオカ
ート同梱版を含まない。含むと5200万本以上としている)という計画だった。この数字には、多くの人々が少ないと感じたのではないだろうか。
理由は簡単で、同社の古川俊太郎社長が4月23日の19時にX(旧Twitter)へ投稿した「お詫び」に答えがある。任天堂は自社の直販サイト、
「マイニンテンドーストア」で「Switch2」の抽選販売を実施していたのだが、応募数が220万件に上り、ストアの初回分の数量を大きく上回
ってしまった。その結果、大多数の人々が落選することになるため、社長が謝罪するという事態になったのだ。
220万件の応募は凄まじいと言っていいほどの規模感である。何しろ、ここ15年の間に発売されたゲーム機の国内初週販売数は、「ニンテン
ドー3DS」が37万台、「Switch」が33万台、ソニーグループ <6758> の「プレイステーション(PS)4」が32万台、「PS5」が12万台というとこ
ろなので、220万件の応募は文字通り、ケタ違いなのである。
そもそも「マイニンテンドーストア」の抽選には、「Switch」のプレイ時間50時間以上、任天堂の有料オンラインサービスへの加入期間が
累積1年以上という申し込み条件があり、いわゆる“既存客縛り”が実施されていた。さらに2月に日本経済新聞が報道した通り、古川社長が
初期需要を満たすほどの数を提供すると述べたこともあって、抽選販売が始まるまでは多くのユーザーが「Switch2」の購入は比較的容易に
できるのではないかと考えていた。事実、Xのトレンドにたびたび、「全員当選」なるキーワードが入っており、ユーザーが楽観的に見て
いたのは間違いないだろう。
その状況下で当選発表前日に、古川社長自らが投稿した「多くの方が落選する見込み」という“バッドニュース”はあまりに衝撃的で、
瞬く間に世界中に拡散されてしまった。これによって、多くの人々が「Switch2」の需要に対し当初と比べて大きな期待を感じて
しまったのではないだろうか。
これがなければ、「Switch2」の年間販売台数1500万台という数字は、過剰生産とすら感じられていたことだろう。なぜなら、世界的に
ヒットした「PS4」でさえ初年度が760万台、コロナ禍で市場が拡大したタイミングで発売した「PS5」は、初動が転売に支えられたにも
関わらず、初年度は780万台という数字である。つまり今回の決算発表で同社が打ち出した「Switch2」の計画の半分程度の実績なのだ。
客観的にこれまでのゲーム機の販売台数と比較するならば、今回発表した数字は、「多すぎて余るのではないか」と思われていたはずだ。